クリスマスをどんなふうに過ごすか問題

今年、『ドイツのクリスマスマーケット』(産業編集センター)という旅エッセイ本を出版しました。昨年の取材時は、アドヴェント期間の4週間で17カ所のクリスマスマーケットをめぐるという狂乱の日々を送っていましたが、今年のこの時期は一転して家でまったり過ごしていました。
見市 知 2025.12.24
誰でも

クリスマスマーケットの本を作るのは13年ぶり2度目だったのですが、このテーマの本を作るためには、前年のアドヴェントからクリスマスにかけての約4週間、連日クリスマスマーケットに行きまくりクリスマスマーケット漬けの日々を送るという、人もうらやむ狂乱の4週間を過ごすわけです。しかしその反動で本が出来上がった年は、狂乱から少し距離を置いて、自分自身のクリスマスの喜びや安らぎを取り戻したいという思いになります。

そんなわけで今年は、クリスマスマーケットに出かけて行くのは自分の住んでいる街と周辺くらいで、逆にこれまであまりやらなかった家の中の飾り付けなどにいつもより情熱を傾けてみました。

とはいえ、クリスマスマーケットの本作りが楽しかったことは言うまでもありません。この楽しさがあるからこそ、狂乱の4週間を過ごせてしまうのであり、逆にクリスマスマーケットへの愛と情熱がなければ1冊の本を作るのは不可能かもしれません。

よく聞かれるのが「どこのクリスマスマーケットが一番よかったですか?」または「どこが一番好きですか?」という質問です。

ひとつだけを選ぶことはとても難しいのですが、昨年の取材時を振り返って「また行きたい」と思い浮かぶクリスマスマーケットは、エルツ山地のケムニッツやアンナベルク、北ドイツのリューベック、ミュンスター、そして南西部のフライブルクです。

ケムニッツのクリスマスマーケット。まるでクリスマスの子ども部屋のような空間です

ケムニッツのクリスマスマーケット。まるでクリスマスの子ども部屋のような空間です

北ドイツの風情あふれるリューベックのクリスマスマーケット

北ドイツの風情あふれるリューベックのクリスマスマーケット

共通点としては、どこも街の規模が小さめで、街並みの中にクリスマスマーケットが絶妙に溶け込んでいること。そしてローカル色がしっかり感じられることです。

それから別格としては、黒い森の絶景の中にあるラヴェンナ渓谷のクリスマスマーケット。ここは訪れたとき雪が降っていたという幸運もあり、忘れられない思い出となりました。

森の中で繰り広げられる幻想的なラヴェンナ渓谷のクリスマスマーケット

森の中で繰り広げられる幻想的なラヴェンナ渓谷のクリスマスマーケット

しかし本の取材中、マクデブルクのクリスマスマーケットに車が突入するテロ事件が起こり、6人が亡くなり、300人以上が負傷するという痛ましいできごとがありました。

2016年にも同様の事件がベルリンで起こっており、これらの出来事がクリスマスマーケットの多幸感に大きく影を落としています。

今年のクリスマスマーケットでは、これらの事件を受けてより厳戒態勢が強化されて、私の住むアウクスブルクでもクリスマスマーケットの入り口付近にはバリケードが立てられ、パトロールする警察官の姿も増えていました。

一方で、今もウクライナやガザで戦争が続いていること、ドイツでも社会全体が貧しくなり、排外主義がはびこっていること、私たちの生きる社会のさまざまな問題や矛盾が目に見える形で立ち現れ、多くの人が不安や絶望感を抱えていること...

そういった中で、クリスマスの喜びと安らぎを本当の意味で取り戻したいと願っている人は多いのではないかと感じます。

ドイツの12月24日は日本の大晦日のような日です。12月25日、26日が家族でクリスマスを過ごすメインの祝日で、この日のためにクリスマス前の4週間のアドヴェント期間、ドイツ人は家族間で贈り合うクリスマスプレゼントの購入やら、家の飾り付けやら、ごちそうの準備やら、さまざまな段取りに狂奔します。楽しいイベントなのですが、ストレスも高まる日々です。

友人の家族で、ある時から家族間でクリスマスプレゼントを贈り合わないことにした人たちがいます。彼らは熱心なクリスチャンの家庭なのですが、世の中全体がクリスマスショッピングムード一色になる中でプレゼントを買うことに頭を悩ますよりも、もっと本質的なクリスマスの祝い方をしたいと思ったのだとか。

ところで、クリスマスに限らず冬のドイツで、家の中で過ごす空間作りに私が心がけているシンプルな3つのポイントがあります。

1) 明るい色の花を飾る

2) キャンドルの光で暖かさを演出する

3) ハーブティーやココアなど、お気に入りの温かい飲み物を常備する

これをやると、寒くて暗い冬の日々が、少しだけ楽しいものに変わります。

皆様も、どうぞよいクリスマスをお過ごしください。

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