コロナ禍の日本入国記【空港〜帰宅編】
完璧な書類を揃えていよいよ日本へ。空港から日本の実家に帰宅するまでを今回は書きます。
これは、2022年3月の記録ですのでご注意ください。
日本帰国後、個人的に予定外の出来事が次から次へと起こったことが理由ではあるのですが、今回の日本帰国においては帰国準備がハイライトで、飛行機に搭乗できた時点で私の旅は終わっていたと言えるのかもしれず、そういう意味での象徴的な間だったわけですね、苦しい言い訳をするのであれば。
さて、フライト当日まで私を悩ませたことがPCR検査と並んでもう一つありました。それは航空会社からの度重なるフライトスケジュールの変更です。
私はルフトハンザのフランクフルトー羽田直行便を予約していたのですが、ウクライナ情勢を受けて航空会社各社は急遽、欧州ー日本間の航路およびフライトスケジュールの変更を余儀なくされました。
ロシアのウクライナ侵攻が始まったのが2月24日、私のフライトは3月18日(日本到着日は3月19日)だったのですが、この間に3回、航空会社から旅程変更を告知されました。
PCR検査はフライト前の72時間(3日)以内に受けなければならず、検査後に結果が出るまで24~48時間(1~2日)かかります。つまり、フライト変更は場合によってはPCR検査のやり直し、そしてそれに伴う出費を意味するわけです。
しかし幸い直前の更なる予定変更はなく、ドイツ鉄道の時限ストライキもなく(数日前に空港警備員のストライキがあり、ひやっとしたものの)、無事にフランクフルト空港までたどり着くことができました。
第一関門は航空会社カウンターだった
航空会社のチェックインカウンターで提示を求められるものは通常ならばパスポートだけなのですが、今はさらに
①PCR検査の陰性証明(日本の厚労省指定フォーマット)
②ワクチン接種済み証明(英語表記があり、氏名と生年月日が確認できるもの)
が必要になります。
ここで①の書類の日本政府指定フォーマットを見せただけで、担当スタッフの安堵感が伝わってきました。
というのが、ちょうど隣のカウンターではPCR検査証明をめぐってもめている様子が伺えました。この条件が導入されて1年近く経つのにも関わらず、やはり現場ではいまだにトラブルがあるのだろうなと想像できました。
(ちなみに詳細は後述しますが、私が心血注いで手に入れた①の書類を見せたのは、フランクフルト空港でのこの1回きりでした。)
搭乗手続きはすんなりと終わりましたが、実際の搭乗までは予定よりもかなり待たされ、そして搭乗してみると機内は満席でした。
フライト本数を減便して、乗客をぎゅぎゅっと詰め込んだという感じなのでしょう。
乗務員さんも手一杯で、飲み物などのサービスも行き渡っていない感じだったので、搭乗前の荷物検査の後に、自分用のミネラルウォーターを買っておけばよかったなと少し後悔しました。しかし不満があるとすればその程度でした。
このような状況下で飛行機が無事に飛んでくれること、日本に入国できることがとにかく重要だったので。
ちなみに今回は度重なるフライトスケジュールの変更の末、ANAの共同就航便に乗せてもらいましたが、機内の航路情報を見る限りではロシア上空を普通に運行していてかなりびっくりしました。
ぎゅうぎゅうの機内で仮眠を取り、12時間ほどかけて日本に到着しました。
羽田空港到着後の流れ
羽田空港到着後、まず最初のセクションで厚労省の「新型コロナウイルス感染症対策 質問票」への記入を求められました。これはスマートフォンがないと記入できないやつです。
ここでは基本情報のほか、日本国内での滞在先住所、過去14日間の体調、乗ってきた飛行機の便名と座席番号などを記入し、連絡用のメールアドレスが必要になります。
スマホもメールアドレスも持っていない人は、これを持つことを求められるという仕組み。
これらを持っているけれど使い慣れていない人にも、いきなりハードルが高い感じです。何人かの高齢の身内や知人の顔が思い浮かびました。
そのセクションを通過すると、次は出発前の①PCR検査の陰性証明と、②ワクチン接種済み証明について確認されますが、これがなんと口頭でした。
自信満々にファイルを取り出した私に、「提示の必要はありません」と係の方が言いました。
私にとってはこの2つの書類が最重要案件だと思っていたので、かなりびっくりしました。
ちなみにその後、日本に1カ月滞在していますが、②のワクチン接種済み証明の提示を求められたことは一度もありません。
そして唾液による抗原検査。検査結果は1時間以内に出て無事陰性でした。
抗原検査の唾液採取前は飲食禁止とされているため、検査を終えて結果待ちで待機するスペースに入ると、ようやく飲み物やスナックの自販機がありました。ここでペットボトルのウーロン茶を買いました。
それから一人一人に係員の方が個人的に対応し、スマホ上でのMySOSというアプリの登録を義務付けられ、その方法を説明されます。

スマートフォン上でのダウンロード、登録を義務付けられるアプリMySOS
飛行機を降りてからこの一連の流れを経て入国手続きを完了するまで2時間弱。
入国時の検査や待機措置が厳格化された直後は「空港で11時間待たされた」といった話もSNS上で散見したものですが、それに比べるとかなりスムーズでした。
また、この検査行程に相当数の人員が関わっている印象も受けました。
政府の「入国時水際対策」の2022年3月以降の緩和で私にとって大きかったことは
-
ドイツからの入国に対し原則、待機期間がなくなったこと
-
到着直後に交通機関を利用できるようになったこと
でした。
さらに1年前には閉鎖されていた空港宅配サービスカウンターも復活しており、都内の自宅へ帰るのに、大型スーツケースを預けて配送してもらうことができました。

空港での抗原検査が陰性で、ワクチン接種済みである場合にこれらの書類をもらって無罪放免となります。しかし、「ワクチン接種済み」は口頭確認でした
「機内濃厚接触者」になった
羽田空港から公共交通機関を使って都内の自宅に帰宅。しかしその翌日、MySOSアプリにお知らせが届きました。

日本到着の翌日、MySOSアプリに届いたお知らせ
【重要】あなたは濃厚接触者であることが判明しました
空港到着時の検査で新型コロナウイルス陽性となった方が、機内の同じ列・前後2列に座っていたとのことです。
このため私は機内濃厚接触者ということになり、入国翌日から7日目まで自宅待機を求められることになりました。
これにより1日に1回(だいたい午後5時頃だった)MySOSアプリからビデオ通話の要請が届き、30秒間自分の顔を見せるように求められました。

1年前の自宅待機の時は、地元の保健所から返信不可のメールが1回届くだけだったのですが、今回はリアルになんだか”Big brother is watching you”(架空の監視社会を描いたジョージ・オーウェルの小説『1984年』の中の有名なフレーズ)だなと思いました。
ちなみにこのビデオ通話要請はなぜか2回しか届かず、3日目には解除の連絡が来ました。保健所に連絡したところ「手違いでしょう」と言われたのですがその後変更はなく、それでも一応7日目まではひっそりと過ごすことにしました。
この間、私自身は発熱することも体調を崩すこともなかったのですが、待機期間の終わり間際に今度は同居家族が陽性になり、さらにもう1週間、濃厚接触者としてひっそり暮らすことになりました。
この期間、セルフキットで1回抗原検査をして陰性を確認し、PCR検査も再度受けてこちらも陰性でした。
陽性になった家族も幸いに発熱もない軽症で、10日自宅療養したのち回復しました。
まとめ
ここまでが、私の2022年3月の入国記です。
今回、コロナ禍の日本入国を経験して知ったこと、感じたことは以下の通りでした。
1) ドイツ出国前のPCR検査は必要なのか?
繰り返しになりますが、出国前のPCR検査はフライト前の72時間(3日)以内に受けなければならず、検査後に結果が出るまで24~48時間(1~2日)かかります。
つまり、この検査結果はフライトの2~3日前のものであり、ここで陰性が出たとしてもフライト後に陽性になる人がいることからもわかるように、万全ではないのです。
万全ではないものに、これほどの労力をかける必要があるのか?
フライト直前に受けるクイック検査(抗原検査)でいいのではないか?
さまざまな思いが去来しました。
2) ワクチン接種証明の存在の軽さ
これはカルチャーショックの部類に入るのですが、ドイツでは飲食店などの利用にワクチン接種証明が義務付けられていた時期が長かったため、日本でこれが一度も求められず、到着した羽田空港でも口頭でワクチン接種の有無を聞かれただけだったのにとても驚きました。
決して日本のワクチン接種率が低いわけではないのに…。
その一方で日本ではほとんどの人が自主的にマスクを着用し、屋外でも規則ではないのにこの慣例が守られているのを目にしました。
3) 飲食物の携帯推奨
機内は満員で、コロナ対策から細心の注意を払ってサービスが行われていること、飛行機到着後の待機時間が読めないことなどからも、自分用の飲み物や軽食を準備しておくといいなと思いました。
飛行機に乗る前は、飲料などの液体は荷物検査で没収されてしまうので、荷物検査後に水などを買っておくとよいかも。空港施設内のものは高いんですけど。
<おまけ>
前回の帰国準備編で私が、3時間かけてフランクフルトまでPCR検査を受けに行った話を書いたところ、これまでコロナ禍でかなりの回数日独を行き来しておられる猛者Y氏がご親切に「近場で安くPCR検査受けられるところがあったのに」とご連絡くださいました。
要領としては各都市にあるPCRテスト機関で検査を受け、陰性結果が出たら日本政府指定フォーマットを持参し、そこに記入してもらい医師のサインとスタンプをもらうというやり方です。
注意ポイントは以下の通り。
・日本政府が指定する検査方法(要その都度確認)でやってもらう
・必ず医師のサインとスタンプをもらう
・ドイツ語または英語での交渉力がある程度求められる場合がある
このたび、日本入国のためのPCR検査初心者だった私は、「日本政府指定」のポイントを自分が正確に理解しているかどうかの自信がなく、なおかつ限定された時間内で検査結果を入手しなければならないという条件下で、極力ストレスを回避するやり方を選びました。

色々ありましたが、ちょうど桜の季節に間に合いました
【関連記事】
すでに登録済みの方は こちら